しんぶん赤旗「日曜版」2021年10月31日号より

Q中国の横暴どうする?

A国際法守れの世論と平和の地域秩序形成

中国による東シナ海・南シナ海での横暴な行動、香港や新彊ウイグル自治区などでの人権侵害は許されません。

日本の領土である尖閣諸島周辺にたびたび公船を侵入させ、台湾海峡をめぐっても中国は台湾への軍事的圧力を強めています。これに米国も軍事的対応を強め「米中対立」が激化しています。自民党も軍事費倍増を公約するなどしています。

しかし軍事に軍事で対抗すれば軍拡競争の悪循環を招き、破滅的な衝突と戦争を引き起こしかねません。

いま必要なのは、国連憲章と国際法という世界共通のルールを守れと国際世論で包囲することです。平和的手段で中国の横暴を抑えていくことが求められています。

中国包囲の軍事的なブロックをつくる排他的な対応も大変危険です。そうしたやり方でなく、中国も包み込む包括的な形で地域的な平和秩序をつくって平和的に共存することが必要です。

ASEAN(東南アジア諸国連合)は南シナ海の平和と安定を維持するためのルール「南シナ海行動規範」をつくるために中国と協議を続けています。

日本は憲法9条を持つ国として、ASEANの実践にも学び、平和と安定の地域秩序をつくる外交にこそ力をつくすべきです。

Qアメリカと敵対する?

A“いいなり”やめて対等・平等の関係へ

日本共産党は、国民多数の合意にもとづき、日米安保条約を廃棄し、対等・平等の日米友好条約を結ぶことをめざしています。

日本の軍事・政治・経済面での異常な“アメリカいいなり”の仕組みの根本に安保条約があるからです。

敗戦に伴い、米軍は日本駐留を開始しました。「平和的傾向を有し責任ある政府」ができれば「直ちに撤収」(ポツダム宣言)するはずでした。ところが76年後の今も119の基地に54千人もの米軍がいます。米軍が駐留する約70ヶ国中で最大です。

在日米軍で「日本防衛」が任務の部隊はゼロです。世界各地への殴り込み作戦のため、首都での降下訓練や全国各地での低空飛行訓練、沖縄・辺野古新基地建設など植民地さながらの横暴を重ねています。

その米軍を日本は世界最高の「思いやり予算」で支えています。こんな国は世界で日本だけです。同時に日本共産党はアメリカの積極面は評価し学ぶ姿勢でいます。1981年以降「しんぶん赤旗」記者2人が米国に常駐し、取材しています。今回の総選挙では「富裕層と財界に公平な税負担を求めるバイデン大統領に見習え」と岸田首相に迫っています。対等・平等でこそ、本当の友好関係を築けるのではないでしょうか。

Q自衛隊をどう考える?

A国民の合意を得て9条との矛盾解決

日本共産党の自衛隊の憲法上の判断は、違憲です。

憲法9条には「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない」と書いてあります。最新団鋭の巨大イージス艦や、戦闘機などを持つ、自衛隊が軍隊目戦力ではないというのは、世界で通用しない話です。9条と矛盾することは明らかです。

日本共産党はこの矛盾を解決する方法は、9条の理想に合わせて自衛隊の現実を変えることだと考えています。

ただ、これは一挙にはできません。国民多数の合意を得て、一歩一歩、憲法9条という理想に向けて現実を変えていく過程がかなり長く続くと見ています。

日本をとりまくアジアと世界の環境が平和的に成熟して、日本国民の圧倒的多数が「もう自衛隊がなくても安心だ」となったときに はじめて、9条の完全実施=自衛隊の解消に向けた措置に着手することができます。

 

その期間に例えば、日本に対する主権侵害があれば、自衛隊を活用します。大きな災害があった時には当然、自衛隊員に対応をしてもらいます。現に、災害救援でがんばっている、汗を流していることに私たちは、敬意をもって接しています。

Q天皇制に反対なの?

A天皇の制度を含む憲法の全条項守る

日本共産党は党の基本方針である綱領で、現行憲法の全条項を守ると決めています。ここには天皇の制度も当然含まれます。

現行憲法で天皇は「国政に関する権能を有しない」(4)と書かれています。ですから、天皇の政治利用をはじめとした憲法からの逸脱を是正することが大事だというのが私たちの立場です。日本共産党は憲法の条項と精神を守りながら、天皇の制度とはかなり長期間共存していくという展望を持っています。

かりに日本共産党が政権に参画しても、天皇の制度そのものを変えたり、廃止したりすることはありません。

綱領はずっと将来の展望として、民主共和制の立場に立つと表明しています。世襲による天皇の制度が「人間の平等の原則」と両立しないという考えも明らかにしています。

党としてはそういう立場ですが、それを国民に押し付けるものではありません。「天皇の制度は憲法上の制度であり、その存廃は、将来、情勢が熟したときに、国民の総意によって解決されるべきものである」と明記しています。

Q大企業をつぶしたい?

A大きな社会存在にふさわしく責任を。

日本共産党は、大企業をつぶすとか、大企業を敵視するとか考えていません。大企業は大きな社会的存在で、大きな力を持っています。それにふさわしい社会的責任を果たしてもらうためのルールを提案しています。

第一は、人間らしい雇用への責任です。パート、アルバイト・派遣など非正規の労働者を「使い捨て」にするやり方を改め、正社員が中心の雇用にしていくことです。

第二は、税と社会保険料負担の責任です。中小企業に比べて大企業の税負担は少なすぎます。もうけにふさわしい税金をきちんと払ってもらうことです。

第三は、環境に対する責任です。たとえば、CO2削減に逆行する大型石炭火力発電所の建設・計画の中止は喫緊の課題です。

ジェンダー平等への責任も重要です。正社員の女性の平均賃金は男性の7割、非正規を含む場合は男性の55%です。大企業は、真剣にその是正に取り組み、ジェンダー平等への責任を果たしていく必要があります。大きな社会存在にふさわしく責任を果たしていく必要があります。

Q「共産党」の名変えないの?

A資本主義をこえた未来社会めざす党

共産党という名前は、私たちの理想を示したものです。

共産主義を英語でコミュニズムと言います。これはもともとラテン語のコムニス目共同からきています。地域のコミュニティーセンターなどの名前にあるコミュニティー(共同体)と同じ語源です。

人びとが角つきあわせ、いがみあって暮らすのではなく、協力して生きていくことをめざした言葉です。

私たちは、いまの社会、資本主義社会が永遠に続くとは思っていません。資本主義社会が持っている問題を解決するために、新しい社会-社会主義・共産主義の未来をつくることを展望しています。

それは旧ソ連や現在の中国とはまったく違います。日本共産党はこれらの国を社会主義・共産主義の国とはみなしていません。

私たちのめざす社会は、資本主義のもとで獲得した自由・人権・民主主義、生活と権利を守るルール、個性の発展-これらをすべて引き継ぎ、より豊かに発展させた社会です。

新しい社会をつくるカギは、生産手段の社会化による搾取の廃止です。それによって労働時間を大幅に短くし、自由な時間を増やし、誰もが自分の能力と可能性を全面的に発展させる社会をつくるーこれが共産主義の理想です。私たちの党名には、そうした人類社会の発展に貢献するという大きなロマンと決意が込められています。